知らないと損する!不動産売却で“やってはいけない契約”ワースト5

「家を売るときの契約って、どれも同じようなものじゃないの?」
――そう思っていませんか?
実は、契約の種類をひとつ間違えるだけで、数百万円単位の損をすることがあるんです。

しかも、不動産会社の営業マンは一見“あなたの味方”のように見えて、実際は会社の利益を最優先に動いているケースも少なくありません。

 

中には、手数料を確実に取るための契約や、売主が気づかないうちに中抜き(転売利益)を得る仕組みを使う業者も存在します。

 

このコラムでは、そうした“売主が損をする不動産売却契約”をワースト5形式でわかりやすく解説します。これから不動産を売る予定の方、すでに不動産会社と話を進めている方は、ぜひ最後まで読んでください。

契約内容を正しく理解することが、納得のいく売却への第一歩です。

 

第5位:買取保証付きの契約 ― “安心”の裏に潜む落とし穴

「売れなかったら、うちが買い取ります」――
この言葉、一見すると“安心できるサービス”のように聞こえますよね。
しかし、その“保証”こそが、あなたの家を安く買い叩く仕組みになっていることを知っていますか?

不動産売却の2つの方法

不動産を売る方法には、大きく分けて「仲介」と「買取」の2つがあります。

●買取
→ 不動産会社が直接あなたの家を買い取る方法。
●仲介
→ 不動産会社が間に入り、買主を探してくれる方法。

一般的に、買取は早く売れるが安くなる仲介は時間がかかるが高く売れるという違いがあります。
なぜなら、不動産会社は買取後に再販して利益を出すため、“仕入れ価格”で買うからです。

 

「買取保証付き契約」とは?

「買取保証付き契約」とは、まず一定期間“仲介”で販売し、それでも売れなかった場合に“不動産会社が買い取る”という仕組みです。
たとえば――
「5000万円で売れなければ、4000万円でうちが買い取ります」
という契約です。

一見すると、「売れなくても最終的に買い取ってくれるなら安心」と感じるかもしれません。
しかし、この“安心”が実は危険の始まりなのです。

 

悪質なケース

買取保証を悪用する会社の中には、最初から仲介で売る気がないケースもあります。
5000万円で売り出している“フリ”をして、広告も内覧もほとんど行わず、「やっぱり売れませんでしたね」と言って、保証価格の4000万円で安く買い取る――。

つまりこれは、最初から値下げを前提とした契約です。
売主の「売れなかったらどうしよう」という不安心理を利用し、
“保証”を口実に不動産会社が確実に利益を取れるように設計された契約とも言えます。

 

買取保証契約で失敗しないためのチェックポイント

広告掲載・内覧実績を必ず確認する
→ 実際に販売活動を行った証拠があるかどうかを確認。

買取価格の設定根拠を明示してもらう
→ 「なぜこの金額なのか?」を明確に説明できない会社は要注意。

販売期間を短く設定しすぎない(最低3ヶ月は確保)
→ すぐに“買取”へ誘導する契約は危険信号。

 

 

第4位:三為契約(中間省略取引) ― 見えない“中抜き”のからくり

仲介に見せかけた“転売契約”が存在することをご存じでしょうか?
「三為契約(さんためけいやく)」とは、売主 → 不動産会社 → 最終買主という3者が関係する特殊な契約形態で、表向きは仲介のように見えて、実際は不動産会社が間に入って転売している構造です。

 

本来の取引と何が違うのか?

通常の取引であれば、不動産会社が一度物件を買い取り、
●売主 → 不動産会社(所有権移転)
●不動産会社 → 買主(再度所有権移転)
という形で、名義が2回動きます。

この際、それぞれの登記に登録免許税や不動産取得税などの税金が発生します。
つまり、不動産会社が「転売」で利益を得る場合、その分のコストを負担するのが正しい流れです。

ところが、三為契約では“中間の登記”を省略し、書面上だけ「売主と買主が直接取引しているように見せかける」ことが可能になります。
これにより、不動産会社は登記費用も税金も負担せず、裏で転売益だけを得ることができるのです。

 

三為契約の危険性 

この契約が問題なのは、売主も買主も本当の取引金額を知らされないという点です。
三為契約を悪用すると、不動産会社は裏で“価格差(中抜き)”を取る構造をつくれます。

たとえば──
不動産会社が売主から 4,000万円 で買い取り、
最終的に買主へ 5,000万円 で売る。
この1,000万円の差額は、表には出てこない“利益”として不動産会社の懐に入ります。

この間、売主は「4,000万円で売れた」と思っており、買主は「5,000万円で買った」と信じています。
つまり、売主が知らないうちに“見えない転売”が行われているのです。

 

契約書の「特約」欄を必ず確認

三為契約は、契約書の「特約」欄にそれとなく記載されていることがあります。
たとえば、

「買主は第三者に転売することができる」
「本契約に基づき、指定の第三者が売主より直接所有権を取得する」

──こういった文言が入っていたら要注意です。
一見、合法的な取引に見えても、実質的には“中抜き契約”の可能性があります。

不動産会社が利益を得ること自体は当然ですが、問題は「情報を隠して売主を不利にする」こと。
本来は、売主にも買主にも取引の全体像と金額の透明性を明示する義務があります。
そこを不明瞭にした契約こそ、“悪質な三為契約”です。

 

三為契約を回避するためのチェックポイント

契約書の「特約」欄を読む
→ 「第三者への転売」「中間省略」などの文言があるか確認。

登記簿上の名義が誰に変わるのかを確認する
→ 不動産会社を経由せず、いきなり買主に移る場合は要注意。

仲介なのか、買取なのかを明確にして契約を結ぶ
→ 「仲介」と言いながら中間マージンを取るような取引は避ける。

 

 

第3位:リースバック契約 ― 住み続けられるが、売却額は“激安”になる仕組み

「家を売っても、そのまま住み続けられる」
──テレビCMなどで耳にしたことがある方も多いでしょう。
これが、「リースバック契約」です。

仕組みはシンプルで、今住んでいる家を不動産会社に売却し、その後は家賃を払って同じ家に住み続けるというもの。
持ち家のままではなく、“所有”から“賃貸”に立場が変わるということです。

一見、「老後の安心プラン」「セカンドライフの新しい形」にも見えますが、実際は多くの人が損をする契約です。

 

リースバックは“相場より安くなる”のが前提

リースバック契約は、「老後資金を確保する手段」として注目される一方で、売却価格が相場より大幅に安くなるという落とし穴があります。
しかも、一般的な不動産買取よりも安くなるケースがほとんどです。

なぜここまで価格が下がるのか?
それは、買主(=不動産会社)が「家賃滞納」や「再売却時に買い手が見つからない」というリスク込みで価格を設定しているからです。

 

“老後の安心”ではなく“短期的な現金化”

リースバックをすすめられたとき、多くの人は「これなら安心して住み続けられる」と思いがちです。
しかし、これは短期的な資金確保のための契約であり、長期的に見れば損失リスクが大きい取引です。

こんな方は要注意です。
✅「資金がすぐ必要だから」と焦って売る方
✅「老後の住まいを確保したい」と思っている方

確かに、売却後すぐにまとまったお金が入るため、
●ローン返済の補填
●医療費や事業資金への充当
などには向いています。
しかし、家賃の支払いが続くため、長期的には家計の固定費が増えるだけになってしまうことも多いのです。

 

契約前に必ずやるべきこと

リースバックは、契約そのものが悪いわけではありません。
「時間を買う」「資金をすぐ確保する」という目的が明確なら、有効な選択肢になり得ます。

ただし、トラブルを避けるには、契約前の比較検討が絶対条件です。

複数社に査定を依頼し、買取価格の差を確認する
→ 極端に安い査定はリスクを過剰に見積もっている可能性があります。

家賃設定・再購入条件を細かくチェックする
→ 家賃が市場相場より高い場合や、買い戻し価格が不透明な契約は避ける。

 

 

第2位:専属専任媒介契約 ― 不動産会社が“絶対に儲かる”仕組み

不動産を売るとき、最初に結ぶのが「媒介契約」です。
実はこの契約には3種類あり、どれを選ぶかで売却結果が大きく変わります。

●一般媒介
→ 複数の不動産会社に依頼できる。自分で買主を見つけてもOK。
●専任媒介
→ 1社にだけ依頼。ただし自分で買主を見つけてもOK。
●専属専任媒介
→ 1社にしか依頼できず、自分で買主を見つけてもNG。

つまり「専属専任媒介契約」は、売主の自由度が最も低い契約です。

 

不動産会社が“絶対に手数料を取れる”契約構造

この契約の最大の問題は、どんな形でも不動産会社が必ず手数料を取れるという点です。
たとえば、売主が「知人が買いたいと言っている」と買主を見つけてきても、その不動産会社を通さなければ契約できず、仲介手数料を支払わなければなりません。

なぜここまで縛りが強いのか?
それは、不動産会社が3%+6万円の仲介手数料を確実に得るためです。
営業マンが「専属でやらせてください!」と強く迫ってくるのは、契約を取った瞬間に“確実に儲かる仕組み”だからです。

 

“囲い込み”の温床になることも

専属専任媒介契約では、他社への依頼や売主自身の販売活動が禁止されているため、情報が1社に独占されやすい構造になっています。
つまり、その不動産会社が他社に情報を流さなければ、どれだけ良い買主が他社にいても、売却のチャンスを逃すことになります。
これがいわゆる「囲い込み」です。

 

専属専任媒介契約をすすめられたときのチェックポイント

もし営業マンから専属専任媒介契約をすすめられたら、次の3点を必ず確認してください。

「なぜ専属専任が必要なのか?」を明確に説明してもらう

「専任媒介」か「一般媒介」での契約も検討する

「囲い込み」を防ぐためにレインズ(REINS)登録を確認する

 

 

第1位:一般媒介なのに「うちだけと契約してください」― “自由な契約”のはずが、実は囲い込みの温床に

「一般媒介契約」は、複数の不動産会社に依頼できる、いわば“自由度の高い契約”です。
本来なら、複数の会社がそれぞれ買主を探してくれるため、販売チャンスが増え、より良い条件で売却できる可能性があります。

しかし、注意しなければならないのが――
「一般媒介のはずなのに、実質“専属契約”のように扱われるケース」です。

「うちだけでいいですよ」は危険サイン

営業マンからこんな言葉を聞いたことはありませんか?

「他の会社にも出すと混乱しますよ」
「うちだけに任せてくれた方が早く売れます」

この言葉、一見“親切そう”に聞こえますが、実は要注意です
一般媒介なのに、実質的に「うち専属」に誘導している可能性があります。

その目的は、“囲い込み”です。
結果として、物件情報が市場に出回らず、買主候補が限られ、売却期間が長引くことになります。

“大手だから安心”は幻想

「大手なら安心」と思っていませんか?
実際には、囲い込みは大手・中小を問わず行われています。問題は会社の規模ではなく、担当営業マンの姿勢と倫理観です。

大手であっても、「自社優先」「ノルマ重視」の現場では、売主よりも会社の利益が優先されることがあります。
売主が知らないうちに“情報が止められている”ケースも少なくありません。

トラブルを防ぐためのチェックポイント

一般媒介でも「他社へ依頼していいですよね?」と確認を取る
 → 「もちろん大丈夫です」と言わない会社は危険信号。

レインズ(REINS)への登録状況を必ず確認する
 → 登録されていなければ、市場に情報が流通していません。

まとめ

不動産売却で本当に大切なのは、
「どの会社に頼むか」よりも「どんな契約を結ぶか」という視点です。

契約書の1枚1枚には、あなたの資産を大きく左右する条件が書かれています。
内容を理解せずにサインしてしまえば、たとえ誠実な営業マンでも、あなたを守りきれません。

✅ 契約内容は必ず事前に確認する
✅ 特約欄は飛ばさずチェックする
✅ 分からない部分は第三者(FP・司法書士・売却アドバイザー)に相談する

そして何より、「正直な会社を選ぶ」ことが最も大切です。
契約の裏側を理解し、納得して進めることこそが、“後悔しない正直な不動産売却”への第一歩です。